そばに関する栄養豆知識
【そばに関する栄養豆知識】
題:「そばに秘められた栄養について学ぼう」
そばには、お米などの穀類の中でもタンパク質を多く含んでいます。
下のグラフで比べてみると穀類100gあたりのタンパク質量が、
米の約2倍、小麦粉の約1.4倍も多く含まれていることが分かります。
また、タンパク質には「人間が体内で合成することが難しい必要不可欠なアミノ酸」=「必須アミノ酸」というものがあります。
この必須アミノ酸は9種類あり、それぞれのバランスがとても重要です。
1種類でも欠けているとタンパク質の質が低くなり、体内合成しにくくなってしまいます。
そばは他の穀類に比べて、第一制限アミノ酸(一番欠けているアミノ酸)になりやすい「リシン」を多く含み、必須アミノ酸のバランスを評価する「アミノ酸スコア」が高いため、タンパク質の質が高い食材なのです。
アミノ酸スコア=食品タンパク質中のアミノ酸含有量 / アミノ酸評定パターンの当該アミノ酸量 × 100
| 米(精白米) | 小麦粉(薄力粉) | そば粉(全層粉) |
アミノ酸スコア | 93 | 56 | 100 |
表のように、穀類の中でもそば粉はアミノ酸スコアが高いことがわかります。
参考文献:
日本食品成分表2015年版 アミノ酸成分表|教育図書
また、そばタンパク質には
「レジスタントプロテイン」という特別なタンパク質が含まれています。
〇レジスタントプロテイン(難消化性タンパク質)
胃や小腸で分解されずそのまま大腸に到達するタンパク質のこと。
難消化性多糖類(食物繊維)や難消化性オリゴ糖(大腸まで届くオリゴ糖)などのように腸内環境を整えるなどの作用があり、消化器疾患の予防が期待できます。
また、そばタンパク質には大腸内の発酵を制御する働きがあるため、便中コレステロールの排出を促し、脂肪肝などの予防にも効果があります。
そばの大部分はでんぷんでできており、調理の仕方や食べ方によってエネルギーの吸収を抑えることもできるのです!
〇レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)
消化酵素で分解されにくいでんぷんのことで食物繊維に似た働きを持ちます。
エネルギーに変わりにくく、血糖値上昇を抑えるなどの効果があります。
そばの主成分であるでんぷんの一部は、湿式加熱などによりレジスタントスターチに変わります。
そばを茹でた後、流水で洗い氷水で締めたざるそばで食べるのがオススメです◎
〇食物繊維
食物繊維は炭水化物の一部ですが、直接エネルギー源になりにくい難消化成分です。
食物繊維は水溶性と不溶性の2種類があります。
【水溶性食物繊維】
水溶性食物繊維は水に溶けやすく小腸での栄養素の吸収速度を緩やかにします。
糖質や脂質、ナトリウムやコレステロールの吸収を抑える効果があるため、
食後の血糖値や血圧の上昇を抑制する働きや、肥満予防効果があります。
【不溶性食物繊維】
不溶性食物繊維は水に溶けにくく、水分を吸収して便の容積を増やします。
便が増えると大腸が刺激され排便がスムーズになり、腸内環境を整える効果があります。
また、そば粉の食物繊維はヘミセルロースが主成分であり、
ヘミセルロースには大腸がんの予防効果、コレステロールや血圧の上昇抑制効果、
生活習慣病予防に期待できます。
食物繊維は成人一人あたり20~25g/日の摂取が理想とされており、
そばの原料となるそば粉(全層粉)100gあたりには4.3g含まれています。
その他の穀類と比較すると、米の約8.6倍、小麦粉の約1.7倍多く、
穀類の中でもそばには食物繊維が豊富に含まれていることがわかります。
食物繊維は生活習慣病予防などに重要な成分であり、健康に与える効果が明らかになってきました。
食物繊維が不足しがちな現代の食生活で、もう一度ご自身の食事を見直してみませんか?
〇抗酸化作用
そばには抗酸化作用を持つ栄養素も豊富に含まれています◎
下記で詳しく説明します!
抗酸化作用を持つ食品には血圧安定化や生活習慣病予防、また老化の進展を防止する効果にも注目されています。
そばには、抗酸化物質の中でもルチンを多く含み、毛細血管を健全化する作用を持ちます。
その他にもカテキン類(がん発症予防に期待)、プロアントシアニジン(心臓病リスク低減)の存在も明らかになっています。
参考文献:
農林水産省 そばの栄養の特徴について教えてください。 こたえ 2024/04/12
・食品学各論・食品加工学15.19p
・食品機能学42.43.44.45.46.88.89.90.91.92.93
・食品学Ⅰ172.173
【そばに関連する栄養素の相乗効果】
題:「そばと一緒に効率よく栄養を摂ろう」
栄養素にはかけ合わせて摂取した方がより効率よく体内に吸収されるものがあります。
今回は、「そばに多く含まれる栄養素」×「それに最適な栄養素を含む薬味や食材」を
ご紹介します!
〇ルチン×ビタミンC(大根、レモン)
ビタミンPの一種であるルチンは、毛細血管を健全化する作用によって生活習慣病予防に効果があります。また、ビタミンCの働きを促進させる作用があるのでビタミンCを多く含む大根の葉やレモンをそばの薬味にしたり、パプリカやピーマンなどの緑黄色野菜と一緒に食べていただくのがオススメです◎
※特に大根はアミラーゼという消化酵素を持ち、そばの主成分であるでんぷんの消化を助けてくれるので、とても相性抜群な食材です!おろしそばがオススメです◎
〇ビタミンB1×アリシン、アリル硫化物 (にんにく、長ネギ、玉ねぎ、ニラ、らっきょう)
ビタミンB₁は糖質代謝や神経伝達に関する働きを持ち、エネルギー代謝を高めるなど疲労回復効果が期待できます。にんにくなどに含まれるアリシンはビタミンB₁の吸収を高め、疲労回復や冷え性に効果的で、長ネギ、玉ねぎ、にら、らっきょうなどに含まれるアリル硫化物もビタミンB₁の吸収を助けてくれます。
そのため、にんにくや長ネギ、玉ねぎ、ニラ、らっきょうなどの食材と一緒に食べていただくのがオススメです◎
〇ビタミンB2
ビタミンB₂はエネルギー代謝や脂質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きをします。ですが、水溶性ビタミンのため水に溶けやすく、茹で汁などに溶けだしてしまいます。
そのため「そば湯」も一緒に飲んだり、スープに混ぜたりすることをオススメします◎
〇カリウム×アルギン酸(海藻類)
カリウムは摂りすぎたナトリウムの再吸収を抑制し、尿として排出を促進する働きがあり、血圧を下げる効能があります。
むくみが気になる方、高血圧の方などに摂っていただきたい栄養素のひとつです。
また、海藻類の粘性物質であるアルギン酸にも高血圧予防効果が期待できるので、わかめなどの海藻類も一緒に食べていただくのがオススメです◎
〇マグネシウム×ビタミンD(キノコ類)
マグネシウムは骨や歯の形成、酵素反応やエネルギー産生に関与しています。
ビタミンDも骨や歯の形成に関与しており、骨粗鬆症の予防や成長期のお子さまなどに、合わせて摂っていただきたい栄養素です。
ビタミンDを多く含むキノコ類や魚などと一緒に食べていただくのがオススメです◎
参考文献:
・日本人の食事摂取基準2020年版
・食べ物と健康 食品学各論・食品加工学 15p42p44p
・食品学Ⅰ[第2版] 139p172.173p
・食品機能学[第3版] 68,69p89.90.91.92.93.95p
・日本食品成分表2020年版
【ざるそばにおすすめの薬味】
ざるそばにおすすめの薬味をご紹介
おいしさはもちろん、栄養面からみてもおすすめな薬味をぜひお試しください◎
定番薬味も栄養の観点から解説します!
〇わさび
定番薬味のひとつ、わさびにはシニグリンという辛み成分が含まれており、代謝アップや冷え性改善の効果が期待できます◎